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2008年12月19日 (金)

ブルートレインの廃止を、「昭和の郷愁」で片付けてはいけない。

今日付のJR東日本のプレス発表で、寝台特急はやぶさと富士の廃止が発表された。

□ ご利用の減少に伴い、寝台特急「はやぶさ・富士」(東京~熊本・大分間)の運転を取り止めます。

長いプレス資料の後ろのほうに、あっさりとした一文があった。「昭和の郷愁」とか「昭和の記憶」とか、マスコミは頭が悪いから、JRが演出したブルートレインの終幕を盛り上げている。

まんまと罠にはまっている。

廃止の大きな原因は、「時代の流れ」という大げさなものではなく、新幹線のスピードアップと、格安夜行バスの台頭だ。

在来線を東京から九州の端っこまで走る必要など、ないと思う。「富士」は、かつて東京から日豊本線経由で鹿児島まで走っていたが、そんなの確かに意味はない。

でも、比較的中距離の東京から関西、山陽、山陰くらいなら、夜行列車の存在意義はなくなったわけではない。

格安の夜行バスが登場したのは、規制緩和の恩恵だ。

大学時代に普通に経済学を学んだ人なら、格安とは、人件費を節約しているということだと、すぐに分かると思う。安いバスとか、安いガソリンなんてものはなく、格安を維持する条件は、人件費がすべてである。

鉄道やバスでは聞き慣れない会社名で、発着する場所はあっても、バス停は存在せず、駅の近くの路上で運転手や添乗員が受付をする。要は、ツアーバスなわけだ。

JRの夜行列車は、当然、正規社員が運転し、正規社員が車掌を務める。

人件費は、格段に違う。勝てるわけがない。

今、巷で大騒ぎになっている派遣社員の首切り。彼らが重宝されるのも、業績が悪ければさっさと首を切れるし、安い賃金だからだ。派遣社員の台頭も、規制緩和の恩恵だ。

まったく関係ない出来事のようで、2つの事柄は、規制緩和というテーマでつながっていて、「構造改革」がもたらした社会のひずみなのだ。

年末に九州行きのブルートレインに乗ろうと思っていたが、やめてしまった。鉄道マニアが騒げば騒ぐほど、「時代の流れなのだから、ブルートレインは廃止してもやむを得ないもの」という印象操作が強くなる。

それは、格安の人件費で、格安の夜行バスを走らせ、安全も安売りされているという現実を受け入れているかのようで、気持ち悪い。

時代は、決してブルートレインを否定したわけではないと思う。

夜は移動しながら、出張先で朝からバリバリと働く、日本的な勤勉な労働者を運ぶ、夢の寝台列車。日本人が決して忘れてはならない、高度経済成長を支えた企業戦士たちの夢の寝台列車なのだ。

金がもったいないのは分かる。でも、格安バスで命を安売りすることはない。

なぜ格安なのか、もっと考えてみるべきなのだ。

運転手は、どんな顔をしているだろうか。添乗員はどんな人だろうか。何人乗りのバスだろうか。そのバスに、安心して乗車できるだろうか。命を預けることができるだろうか。

かつてJR貨物は、どんどんシェアを落としたが、最近復活してきた。環境問題で、物流が、排気ガスを出すトラックから、鉄道へとシフトしているからだ。

時代の変化とは、そういうものだし、夜行列車も例外ではない。

貨物がトラックから鉄道へとシフトしたように、夜行列車が再び脚光を浴びるときが来るかもしれない。ブルートレインというハコは、もう見られないかもしれないが、違うかたちの夜行列車が登場するかもしれない。

本来、鉄道は最も安全な移動手段なのだ。「構造改革」で振りすぎた振り子を、もう一度元に戻さなければならないときが、必ず来る。格安バスが、労働と安全の安売りだということが、社会的な批判を浴びるときが、必ず来る。

マスコミは、昭和の映像を流すより、何がブルートレインを廃止に追い込んだのか、冷静な分析をすべきなのだ。新幹線までは正しい。だが、それだけではない。

格安ツアーバスの運転手が、どんな過酷な労働を強いられているのか。いったいいくらで雇われているのか。添乗員の給料は、いくらか。いや、そもそも添乗員はいるのか。

ブルートレインと比較してみればいい。

どっちがまともな移動手段か。

昭和の白黒映像など、いらんヽ(#゚Д゚)ノ┌┛)`Д゚)・;

2009年3月のダイヤ改正について(JR東日本プレスリリース・PDFファイル)

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コメント

今度の改正でムーソライトも不定期になるようですね。
不思議なのは、南アのそれに及びも無い、ブルトレとか言う長距離夜行に高額の特急料金、寝台料金、指定料金を設定し続けて、つまり企業努力皆無で顧客を引っ張れなかった本島会社の無芸を感傷に隠されて済ましてしまう、株主連中の馬鹿さ加減じゃないですか?

投稿: 陸壱玖 | 2008年12月20日 (土) 02時53分

ムーンライトになってから、あの夜行列車は使わなくなりました。大垣夜行時代が懐かしい。いや、郷愁に慕っているわけではなく、あーゆーシンプルな編成で、切符1枚で乗る夜行列車は、かなり使い勝手が良かったです。

ところで、ブルートレインの、あの画一的に「寝台」を上下2段に重ねただけの車両で、特急料金含めて1万円近く獲る鉄道会社と、それを「昭和の記憶」だと有り難がって乗る日本人って、つくづく共倒れな人たちだと思う今日この頃。

年末は、サンライズ・シングルで旅に出ます(笑)

投稿: mori-chi | 2008年12月23日 (火) 10時58分

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