森絵都『ラン』(理論社)を読んだ。
森絵都さんとは、生まれが同じ年だ。だからなのか、何なのか、この人の小説は、オイラの感覚にピッタリと合うことが多い。
まだ、森絵都さんが、児童文学のジャンルを書いていた頃、オイラは、年甲斐もなく、彼女の世界にのめり込んだ。
最近、大人向けの小説が多くて、『ラン』も同じように大人向けではあるが、久しぶりに森絵都さんらしいコンセプトだった。
主人公・環(たまき)が、不思議な自転車の力を借りて、「レーン」を超えて、死んだ家族に会いにゆく。環は、あの世の家族と交流するうちに、今度は自分の力で「レーン」を超えようと、マラソンを始める。レーンの長さは、40キロ。つまり、フルマラソンを走りきると、環はレーンを自力で超えられる。
そんな無茶苦茶な物語。
森絵都さん、『カラフル』でも、死をモチーフにした物語を書いている。
オイラは、このブログでずいぶんとオカルトを批判しているけれど、これは最初から最後まで物語り、作り話。
フルマラソンを走って三途の川を越えられるんなら苦労しないし、逆に現世に帰ってきちゃうんだから。
彼女の作品の好きなのは、登場人物、特に主人公の女の子が抱える孤独。これが、妙に共感できてしまう。将来が見えなくて諦めていたり、寂しいんだけれど、何だか周りの世界に絡まざるを得ない、孤独な少女。やめときゃいいのに、もがけばもがくほど、事態に振り回されてゆく。
でも、これまでの主人公の中で、一番貫通行動がしっかりしているんじゃないだろうか。
目的は、42キロを走りきる。ただそれだけで分かりやすい。
走る理由もハッキリしている。
難を言えば、あまりにも長い。463ページもある。辞書みたいな小説だ。
あの世の説明とか、レーン越えの説明とか、あまりにも説明が長いからだろう。
それもまた、42キロの旅なのか。
「42.195キロ先でまた会おう。」
すべての始まり。でも、物語はここで終わる。走りきったかどうかは、分からない。
『ラン』は、環が、「生きる」のを始めるまでの物語。オイラも、環といっしょにスタート地点に立つ。そこで、物語は終わる。
その瞬間の爽快感が嬉しい。
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