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2008年10月17日 (金)

「マルチ商法」で揺れる国会を見て、今更何を…としらける。

「マルチ商法」には、合法と違法がある。なので、合法的なマルチ商法のことを、「マルチまがい商法」と呼ぶこともある。

この数日の報道を見ていると、何が良くて、何が悪いのか、さっぱり分からない。

「マルチ商法を擁護する国会質問を行った」

そりゃ、オイラが有権者なら、そんなアホは絶対に投票しない。

だが、アムウェイとか、ニュースキンといった典型的なネットワークビジネスが、何故、堂々と商売を続けているのだ?

新聞やテレビは、そのことを問題にして追及したことなんてあるのか?

アムウェイにしろ、ニュースキンにしろ、少なからずオイラは影響を受けたことがある。

アムウェイは、オイラの友だちが関わったことがある。勧誘の現場を目の当たりにしたこともある。

ここの商品は、なかなか良い。たぶん、ネットワークビジネスではなく、普通にコンビニに商品があれば、案外愛用したのかもしれない。

だが、商品を購入することも、会員になることも、なかった。

理由は簡単で、それがネットワークビジネスだからだ。

ニュースキンは、オイラの母親がはまっていた。これがやっかいで、やっかいなのは母親で、オイラを勝手に会員にしてしまった。承諾もしていないのに、いつの間にかオイラの家に会員向けの会報が送られてくるようになった。

おそらく、オイラの名前で勝手に物も購入していたのだろう。

実家に帰ると、ニュースキンの商品があって、いやでも使う羽目になった。

が、やはり、商品を購入することはなかった。

理由は簡単で、それがネットワークビジネスだからだ。

オイラは、実家の破綻をいやと言うほど見てきた。アムウェイだとか、ニュースキンならともかく、どこの何なのか分からない、怪しげなマルチ商法に魅入られて、見境なく商品を買いあさる両親を見ていて、その宗教性に恐れおののいた。

典型的なネズミ講だが、それに気づいていない。

ひどい場合は、商品そのものが存在しないこともあった。

最初は、アムウェイやニュースキンのような「まっとうな」ネットワークビジネスと、そうでないものを分けて考えていたが、そのうち見方も変わった。

合法かどうかは問わず、「マルチ商法」やそれに類するネットワークビジネスに手を染める人間が、多かれ少なかれ、壊れているという実態を見たからだ。

壊れているというのは、精神的にも、人間関係も、いろいろな面である。

オイラの両親の場合は、金銭感覚だった。

10万円のものを5つ買えば、5万円バック。壊れた人は、この5万円に喜んで、50万円のことを忘れる。見事に失念する。

オイラの母親は、怪しげな化粧品を売りつけるため、何十万円もするエステの機械を購入し、自宅でエステの営業まで始めてしまった。

これが、かなり怪しい。

そもそも、免許もないのにエステなんてやっていいのか?

素朴な疑問をぶつけると、彼女は、ケロッとした顔で、

「大丈夫。派手にやらないから」

と答えた(笑)

本人は、大まじめである。

恐ろしいことに、そのエステ用の機械を購入するために、オイラに借金しろとまで要求してきた。

母親は、度重なる借金で、ブラックだったからだ。

もちろん、断った。

断ったにも関わらず、次に実家を訪れると、怪しげな施術機械が部屋の真ん中にでーんと並んでいた。どっから金を工面したんだ?それが儲かったのか儲からなかったのか明らかになる前に、部屋からは機械が消えていた。

両親だけではなく、似たもの同士が集まっているということも、両親の生活から垣間見られた。彼らは、彼ら同士の仲間がいるらしい。

彼女のマルチ商法の経歴は、多種多彩である。それは、彼女特有の素質ではなく、似たもの同士が集まっていることも分かった。

それぞれが、ネットワークビジネスにはまる背景があるようだ。借金を抱えているというのは、1つの共通した要素だった。寂しい人間が多いのも特徴だった。

そのうち、彼女は、アムウェイもニュースキンにも手を出さなくなった。

理由は、「儲からないから」だった。

ネットワークビジネスは、ピラミッドの上に行けば行くほど儲かる。基本的にはネズミ講と同じで、ネットワークは永遠には広がらない。だから、日本で定着してしまった大手のネットワークビジネスは、ピラミッドの下にしか位置できないということらしい。

最初から、ピラミッドの最上部にいれば、ジャブジャブお金が入ってくる。なので、新しいものには、すぐに飛びつく。

そんな話を間近で見たり聞いていて、オイラはそのうち悟ったのだ。

ネットワークビジネスは、壊れた人間のやることだと。

合法か、違法かは、あまり関係ない。

いや、合法なのか、違法なのかは、日本の法体系の限界を表しているに過ぎない。合法であろうが、なかろうが、当たり前の人生をおくりたければ、触ってはならないものだと感じている。

人は、何時間働き、いくらもらう、という当たり前の労働を毎日、アホみたいにくそまじめに繰り返すことが、一番の幸せなのだ。

ありきたりの日常を繰り返すことほど、価値のあるものはない。

ネットワークビジネスに染まる人は、商品を通じた人のつながりに価値を見いだす場合が多いことも感じた。

難しい時代だからこそ、根が深いのだと思う。

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コメント

衆議院議事録
第126回国会 衆議院 商工委員会 第15号
1993年04月21日

○細川政府委員 御指摘の米国企業、ニュースキンでございますが、近く日本で営業を開始する予定であることは私どもも承知をいたしております。
 いずれにしても、組織の末端に至るまで法律を遵守し、消費者との間のトラブルが発生しないよう、また、発生した場合には速やかに解決するように指導を行ってきておるところでございます。当省としては、引き続きまして、関係省庁とも連絡をとりながら本件について注視をしていきたいというふうに考えております。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/126/0260/12604210260015a.html


衆議院議事録
第150回国会 衆議院 商工委員会 第3号
2000年11月01日
○原委員 マルチ商法について通産省にお伺いをしたいのですが、業界を健全育成するためにあるべき社団法人日本訪問販売協会の理事団体に、日本アムウェイやニュースキンジャパンが入っているということは事実でしょうか。
○伊藤政務次官 事実であります。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001015020001101003.html


参議院議事録
第169回国会 決算委員会 第10号
2008年5月26日
○大門実紀史君
これはほかにも被害が出ております。私のところに今、ニュースキンという同じアメリカの会社の下でやっている方から被害の相談が来ておりますけれども、これは国民生活センターにも苦情が毎年来ております。この相談者の話では、処分を受けたニューウエイズジャパンと変わらない勧誘方法をやっているということで、特に販売しているものも、私、ちょっと疑問がある。アメリカでは医療器具として認可されていない、ここにパンフレットございますけれども、認可されていないものも何かされているような錯覚をしてしまうんじゃないかというようなものを、新手の医療機器なんかを売っております。
 先ほどのニューウエイズジャパンの処分だけで一罰百戒ということになるのかと、それにしては規模が大き過ぎるマーケットでございます。そういう点では、このニュースキンも調査に入っていただきたいと思いますが、いかがですか。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/169/0015/16905260015010a.html

投稿: ニュースキンも国会で取り上げられています | 2016年1月 8日 (金) 11時39分

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http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news5plus/1223862307/ [続きを読む]

受信: 2008年10月18日 (土) 00時24分

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