【秋庭系オカルト堂】地下の都市伝説の権威・秋庭俊先生がオカルト作家を脱しきれない理由
何だか釣られているみたいで、気が引けるのだ。
1つ1つ論破することには、あまり意味を感じない。いぢるとおもしろいので、気が向けばいぢるが、秋庭先生が展開している理屈にはほぼ99%幻滅していて、論破していくだけの意欲が沸かないというのが正直なところなのだ。
秋庭先生は、取材などしない。所持している資料は間違いなく、都立中央図書館東京室と国立国会図書館で入手できる。特に都立中央図書館東京室の資料は、秋庭先生の打ち立てている仮説の大半を形成する材料となっている。
こんなことを書くと、国会図書館に何でもあるなんて当たり前と思うかもしれない。
ところがどっこい、都立中央図書館にあって、国会図書館にはない資料がたくさんある。もちろん、その逆もあるわけだが。
それが何故分かるのか?
秋庭先生が、「極秘資料」のふりをして使っている資料の中に、都立中央図書館でしか所蔵していない資料があるからだ。その逆で、都立中央図書館にはないのに国会図書館に所蔵している資料も登場する。
国会図書館には、閲覧はできても、コピーできない資料がある。おもしろいもので、そこには秋庭先生が自著で使えそうなネタがたくさんあるが、決して複写資料は登場しない。地下鉄の建設史や岩波新書を、あれほど嬉しそうに「極秘資料」のごとく複写する人が、それだけは複写できず、自著にも登場しない。
原本がカラーなのに、自著ではひたすらモノクロというのも、彼がいかに《複写魔》なのかを暗示している。カラーコピーしていたら、金がかかって仕方ない。
秋庭先生が自著で使う資料を1つ1つ紐解いているうちに、秋庭先生の足跡が見えてきた。
秋庭先生の地下「研究」は、おそらく、ある1人の情報提供者のネタから始まった。
ある事件がきっかけでテレビ朝日を退社した秋庭先生は、フリージャーナリストとして一旗揚げたかった。そこで、このネタに飛びつき、さっそく取材に回ってみた。
が、何も分からなかった。
彼は、噂や都市伝説として流布されているネタを片っ端から並べてみた。そして、彼なりの仮説を立ててみた。
でも、それだけではネタは、ネタでしかない。ありのまま、極秘の地下網があるのかないのか分からない本に出版社の編集がGOサインを出すわけがないのだ。
彼の図書館籠もりは、こうして始まったのだと推測している。
秋庭先生が大好きな岩波新書『東京の都市計画』(越沢明著)は、都立中央図書館東京室に開架で置いている。(今日現在は「業務使用中」になっている)
さて、zakzakの記事に戻ろう。
中身はさておいて、である。
ここで使われている「トンネル網を示した都心部の地図」「大江戸線の駅とかつての施設」の2つ図をクリックして拡大していただきたい。
これは、印刷物を複写したものだ。
PCで電子データとして作成したものをWebにアップするなら、こんな画像にはならない。
おそらく、秋庭先生が自らお持ちのものなのではないか。
“秘密トンネル説”も単なるトンデモ話とは思えなくなるのだが…。4月1日ですが、エープリルフールネタではありません。
何故、ここだけ文末が「です・ます」調なのか。
本日は、大東京の地下にミステリーが眠っているというお話。
「本日は」というのは、どういう意味なのか。いつもは何の記事を書いているのか。
最初、この記事を読んで、秋庭先生が新刊を出すもんだと思った。こういう形で本の宣伝をすることは、よくあることだ。
だが、肝心の新刊の話題もなく、尻切れトンボで記事は終わる。
図の示した五角形のトンネル網は、現在の地下鉄網とは何の関係もないようだ。『新説・東京地下要塞』(講談社)の229ページで示した五角形とはまったく異なる。
何もかも中途半端で、何となく「秘密の地下網がある」というイメージだけが残るが、それ以上のものは何もない。
秋庭先生のネタの特徴は、簡単にジャーナリスト気分を味わえるというところだ。
あそこは変だ、ここはおかしい・・。
何となく秘密めいたものを見つけて、論証はせずにひたすら共感し合う。すると、何か国家機密を暴いているような英雄気分に浸ることができる。オイラはかつて、知り合いや友達とかとそんな会話をして楽しんだものだ。
小学校の頃、友達と心霊ネタで盛り上がったことがある。
最初は虚言から始まることが多い。「体育館で幽霊を見た」とか。友達どうし話していると、そのうち自分も幽霊が見えたような気がする。冗談だったのが、何故か夜、布団に入ると恐くなる気がする。子どもにはよくあることで、妄想が実態として認識されてしまうのだ。仲間うちでそんな盛り上がっているときに、「幽霊なんていないよ」なんてクールに答えたら、それこそKYである。ネットの片隅のブログ程度なら、適当にコメント欄に悪態つかれて終わるが、現実の人間関係は、なかなかそうはいかない。
今の時代に都市伝説が流行るのは、似ているのかもしれないと思う。
ネタは、人間関係の潤滑油だし、「国家機密」を見つけるのは政治・社会・人間不信の現代には必要なカタストロフィーなのかもしれない。
ところで、タイトルのこと。
秋庭先生は、何故、オカルト作家を脱しきれないか?
それは、何年「研究」しても地下網を見つけ出せないのと同じ理由だ。
彼の仮説は、いつも「直線」だからだよ。
どこかから、どこかを、直線で結ぶと、どこどこの地下鉄路線と重なるとか。
曲がらない。これは、秋庭理論を支えるルールだけれど、実は一番リアリティーに欠ける。
曲がってもいいのだよ。地下網を敷こうと仮に考えたとして、まっすぐに敷けばそりゃあ最短距離でトンネルを敷ける。
でも、ちょっと考えてみよう。それは効率的と言えるか?
A地点、B地点、C地点、3つの地点を結ぶ地下網を敷こうとするとどうなる?
AからB、AからC、BからC、直線のトンネルは3本必要だ。
曲がれば、1本ですむ。A→B→C→Aってね。
何故、直線なのか?
直線でなければ仮説を証明できないからだ。
地図の上の記号をなぞっても、「曲がっているルート」なんて見えてこない。曲がり方には人それぞれの頭に浮かぶイメージが変わってしまう。AからBへ、カーブを描きながらトンネルがある、なんてことは、いくら頑張っても地図では証明できないのだ。でも、直線なら簡単だ。どこかとどこかをまっすぐ結べばいい。
何故、カーブする地下網は存在しないのか?
もしも大正時代にシールド式の掘削機があるんなら、縦横無尽に曲がりくねればいいではないか。
そのことを一番分かっているのは彼自身で、何故直線なのかを証明するために、五角形の要塞理論を持ち出し、妄想に屋上屋を重ねてしまったのだ。
秋庭先生が言っていることは嘘っぱちだというのは、そういうことなのだ。
仮説は大胆であればあるほど独創性が出る。でも、仮説に仮説を積み重ねる、仮説を立証するために仮説を立てるような論証を続けていくと、最後には初心が忘れられる。
秋庭先生が、最初に証明しようとしたことは、五角形ではないはずなのに。
ジャーナリストを本気で目指して、本気で隠された地下網を暴きたい人がいるなら、まずは秋庭理論から解き放たれる必要がある。
地下に何が隠されているかを知るのは、秋庭本を捨てるところからスタートすると思う。
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コメント
>4月1日ですが、エープリルフールネタではありません。
じゃー何なんでしょうかね?
ああっ、エプリルフールネタの様な罪の無い嘘ではなく、盗用資料を改竄、歪曲して、他者人格の捏造や、元資料の著作者人格権を蔑にする、極悪非道な、卑怯者の嘘ってことですかね。
違うのかな?あの書きっぷりは違うのかな。
根拠の無い嘘を、裏も取らずに紹介する。なかんずく、
>4月1日ですが、エープリルフールネタではありません。
と恰も、真実の様に報じる。彼奴には文責と言う意味も判っちゃ居らんのでしょうね。
投稿: 陸壱玖 | 2008年4月 6日 (日) 01時59分
おはようございます。
記者本人としては、やはり「エイプリルフール」だったんでしょうね。秋庭さんが得意な「いろいろ、あるんだよ」と同じで、真実かどうかぼかせばおもしろいぞと。
ネット媒体の記者は、真実性より情報量が勝負だから、こんな遊びもできるんでしょう。彼らに報道としての倫理観など最初からないですから。交通局のコメントとっているだけ、まだ記者の真似事くらいは知っているようですが。
受け止めるオイラたちが、しっかりネタの真偽を見分ける力がないとあかんのだと思っています。
投稿: mori-chi | 2008年4月 6日 (日) 10時06分
>1つ1つ論破することには、あまり意味を感じない。
確かに。しかし、突っ込みどころ満載なので思わず(笑
>一説によると、(ZAKZAK)
一説しかないんだってば。他の説は無い(笑
「でも今は地下の話は僕しかやってないんで、」秋庭さん自身が言ってる。
投稿: 陸壱玖 | 2008年4月 6日 (日) 22時57分
こんにちは(^-^)/
「一説によると」は、秋庭系では必ず活用される常套句ですよね。あたかも他で議論されているような印象操作。
それにしても、五反田が「重い駅」には笑いました。国鉄は重金属とかで駅舎作ったんだろうか。重いも何も、都営の五反田駅は道路の下だし(笑)
そんなアホな話を大まじめに記者が頷いている、その間抜けな光景を想像するだけで、十分酒の肴になります(爆)
投稿: mori-chi | 2008年4月 7日 (月) 14時27分