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2007年10月24日 (水)

『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(福田ますみ著、新潮社)に学ぶマスコミの暴走

オイラは社会性のある書籍はほとんど読もうとしない。政治や社会に無関心であるのみならず、これまでそういう本を読んでおもしろいと思ったことがほとんどないからだ。とりわけノンフィクションの類は、ろくな本に出会ったことがない。

今回読んだ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』は、久しぶりに一気に読み切った。

おもしろい。

胸躍るってのは、こういうことを言うのだろう。

オイラにたまっていたフラストレーションが解消されるような心地だった。

2003年6月27日朝日新聞西部本社版に

「小4の母『曾祖父は米国人』 教諭、直後からいじめ」

という見出しが踊った。

最初は地元のマスコミが後追い取材だったが、その後『週刊文春』が取り上げると、一気に全国ネットのワードショーがこのネタに群がった。

「史上最悪の殺人教師」は、こともあろうに担任のクラスの男児に「穢れた血」などと差別発言をしたあげく、学校で凄惨ないじめを行った。

福岡市教育委員会は「教師によるいじめ」を認定し、教諭に停職6ヶ月の懲戒処分を下した。しかし、男児は教諭の虐待によりPTSDを発症。ついに男児の両親が教諭と福岡市を相手取り損害賠償を求める民事訴訟を福岡地裁に起こす。

訴訟の先頭に立ったのは人権派の弁護士で、550人もの大弁護団を結成した。

ところが・・・。

事件は思わぬ方向へと展開する。

正直これを読んでも、教諭の側の主張が正しいのか、男児の両親の側の主張が正しいのか、判断がつかなかった。オイラは、この事件について詳しくないし、裁判の資料も手元にないからだ。

インターネット上の論調は、教諭に非があるという傾向が強い。もともとネット上の世論は教師には厳しいところがある。この本を読むと、確かに教諭を「殺人教師」と呼ぶだけの根拠はないように思える。でもそれにしても、この本は教諭の側から事件を見ているので、教諭に味方しているのは当然なのかもしれない。

ただ1つ言えることは、マスコミについてである。

最初の朝日新聞の「火付け」から始まり、地元マスコミの後追い取材、「週刊文春」、そしてその後の全国ネットのワイドショーの狂想曲、それら一連のマスコミ・メディアの暴走がなければ、この事件はこれほど注目するに値するものだったかどうかは疑問だし、「殺人教師」であるはずの教諭は、これほどの虚像を描かれることはなかったということだ。

オイラたちが普段から当たり前のように正義の代弁者であるかのように思いこんでいるマスコミとかマスメディアという媒体が、どのようにして間違いを犯し、誤報を積み重ね、ありもしない虚像を積み上げたのか。その過程が見事に描かれている。それだけでなく、誤報の当事者である記者にも取材をし、どうして当時のような記事になったのかも問うている。

双方の弁護士が、双方の依頼者の味方をするのは当たり前だ。まして何が事実なのかわかりにくいこの事件で、マスコミが両者の言い分を公平に報道していれば、こんなややこしいことにはなっていないし、ネット上にあふれる「殺人教師」に対する非難もなかったかもしれないのだ。

弱者の味方、といえば、被害者を自称する人の味方をするのは、仕方ないことなのかもしれない。

でも、本当に大切なのは、誰の味方をするのかではなく、

真実は何か?

新聞やテレビの役割は、そこに尽きるのではなかろうか。

この事件は、本が出版されたあとも現在進行形で、ある顛末を辿っている。

ただ、それはここに書くのはよそうと思う。本を読んで、読者が自分で考え、何が真実かを見極めるほうが良いような気がした。

オイラはオイラなりにこの事件の真相を妄想しているが、それもあえて書かないでおこうと思う。

ネット上の情報に惑わされずに冷静に考えれば、それほど難しい問題ではない。

それはともかくとして、久々に読んでスカッとした1冊だった。

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