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2007年7月25日 (水)

【緊急特別企画】秋庭俊先生の『新説東京地下要塞』文庫版を解読する(第5回)

ココログのメンテナンスもようやく終わり、連載再開である。地下のオカルト作家・秋庭俊先生の『新説東京地下要塞』の文庫版を、単行本との比較もしながら解読する第5回目。

今回は、「第五章 新宿・都営軌道」を検証する。

新宿プリンスホテルの地下駐車場は、靖国通りにあるサブナード公共駐車場とつながっているのか?

新宿プリンスホテルにお客様用の地下駐車場はない。

新宿プリンスホテルには、サブナード公共駐車場への出入り口があるだけで、ホテルの地下には駐車場は存在しない。新宿プリンスホテルのサイトのQ&Aには、以下のような案内がある。

Q 駐車場はありますか?

サブナード公共駐車場(車高制限2.1m)をご利用ください。ご宿泊のお客さまは、1泊につき¥2,000(出し入れなし)にてご利用いただけます。アシスタントマネージャーデスクまたはフロントにてお支払いください。レストランのご利用、その他につきましては 30分につき¥310かかります。(大型車両については、30分につき¥350かかります。)サブナード公共駐車場にてお支払いください。

悲しいかな、この段階でこの章は終わってしまっている。これから先にいろいろと秋庭先生が展開していても、結局は「別々の駐車場がトンネルでつながっている」という前提がなければ始まらない話ばかりで、つながっていないのであれば、章全体が破綻する構成である。

新宿プリンスホテル

サブナード地下駐車場

停車場は地下鉄の駅で、停留場は都電の駅なのか?

停車場も停留場も、鉄道の駅で、地下鉄か都電かを分ける単語ではない。

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?13

鉄道の専門用語では、「停留場」とは構内に転轍機の設備のない駅のことである。例えば上下線を渡る分岐がないと言えば分かりやすいだろうか。「停車場」とはその逆と考えてよい。

秋庭先生がこの章で引用している文書は、駅の設備に変更を加えただけで、都電が地下鉄に変わったわけではない。

仮にこれが都電から地下鉄への変更を申請した文書だと仮定してみよう。東京中に極秘の地下都電網が張り巡らされていたとすれば、現在の東京の地下鉄ルートに転用する際に、新宿三丁目だけではなく、他の箇所でもたくさん停留場から停車場への変更申請が行われていたはずである。その文書は、どこにあるのか。何故新宿三丁目だけが明らかになったのか。

他の地下鉄の建設史には、停車場と停留場が両方登場する。現在の地下鉄で何故「停留場」が残されているのか?その駅には今も極秘の都電が発着しているのか?

駐車場と駐車場をつなぐトンネルはない。都電の停留場が地下にあったという証拠はない。

では、いったい「都営軌道」はどこへ消えてしまったのか?

オリンピックの前、東京の道路はガラガラだったのか?

昭和30年代、都心の交通渋滞は深刻な社会問題となりつつあった。

急速な自動車の普及により、都心の道路は日に日に自動車が増えて、慢性的な渋滞が起き、交通がマヒした。都電は年々平均スピードが落ちていき、それに伴い乗客も減ってしまった。最終的にはついに自動車に追いやられ、都電は縮小を余儀なくされた。

自動車が普及すると駐車場の確保が課題となる。でも都心の地上に駐車場をつくるような余裕はすでにない。なので、民間が駐車場ビジネスに参入することは不可能に近い。残るは広い道路の地下ということになるが、道路を管理しているのは国や都なので、必然的にその地下に駐車場を整備するのは行政機関ということになる。

秋庭先生の著作は、終戦後の東京の歴史認識が決定的に欠如している。

今回も単行本と文庫版で新旧対照を。

(単行本)「天皇の名がつけられた道」(P156)

(文庫版)「元号がつけられた道」(P162)

昭和通りが完成した当時、昭和天皇はまだ存命で即位されたばかりだったので、当然昭和通りは天皇の名を冠しているわけではない。ようやく秋庭先生はそのことに気づいたらしい。でも、天皇の名ではなく元号となれば、何故軍部が出てくるのか意味不明である。

間違えたならいったん引き返すべきだが、秋庭先生は止まることをせず、小さな手がかりを踏み台にして次の仮説へと進む。すると小さな手がかりが間違っていることが分かるが、すでに引っ込みがつかないくらい途方もなく巨大な妄想と化している。すると、もう勢いで走りきるしかない。秋庭先生の著作で語られる仮説のほとんどは、そうやって筆を滑らせたものである。

(つづく)

伝説のオカルト本『新説東京地下要塞』が文庫化〜著者の秋庭俊先生が「隠された地下網を暴くと逮捕されるぞ!」と読者と関係者を恫喝

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(関連サイト)

書き散らsyndrome

地下妄の手記

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