« 眞鍋姉さん、オイラは、ケータイで『めざせ!プロ野球』を始めてみたんだけど… | トップページ | 【秋庭系東京地下物語'07《秘密》】(第2回)首相官邸のトンネルの謎・前編 »

2007年5月18日 (金)

【秋庭系東京地下物語'07《秘密》】(第1回)斜に構えたアイツの謎

P1020568 国会議事堂…日本人で知らない人はいない国権の最高機関である。この建物を見れば、誰でも国会だと分かるというのに、その中身はあまり知られていない。小学生か中学生のときに、先生に引率されて見学した覚えがあるのに、そのときの記憶がしっかり残っている人は少ない。

だからこそ、あたかも秘密のベールに包まれているような雰囲気を醸し出している。何より、清き一票でこの議場の席に座った人たちも、ほとんどが国民からは乖離したところで仕事をしているから、ますます国会議事堂は、オカルトの標的にされやすいのだろう。

地下の都市伝説の権威・秋庭俊先生は、『帝都東京・隠された地下網の秘密』(新潮文庫)で、国会議事堂を中心とした永田町周辺の施設を地下の名所として、秘密のベールに迫っている。国会議事堂には、国民には知られていない地下があるのか?首相官邸と国会議事堂を結ぶ地下道は本当にあるのか?…この企画では、そんな秋庭式の地下陰謀論を検証したい。

まず、第1回目は、アイツはどうして、斜に構えて立っているんだ、という謎から始まる。

P1020563 ねっ、分かるでしょ?

ここは、東京メトロ丸ノ内線の国会議事堂前駅の出入り口。こいつに面している通りとは平行ではなくて、斜めに、つまり、国会議事堂の敷地に向かって穴が開いているわけだ。

なに、斜に構えてんだよっ…てわけである。

もう1つ変なのは、この出入り口のある通りは、この画像で言えば右奥に向かって歩道を歩いていくと、すぐに地下鉄の出入り口がある。もちろん、2つの出入り口の間には道路が走っているわけでもなく、交差点があるわけでもない。同じ通りに至近距離で、2つの出入り口、無駄でしょって思うわけだ。

しかも、この2つの出入り口は、上の画像の出入り口なら、改札口を出て右側に回るのに、もう1つの出入り口は、改札口を出て左側に回る。同じ通りの同じ歩道に出るのに、どうしてそんなことになるの?ってわけなのだ。

この斜に構えた出入り口をよーく覚えておいていただきたい。

P1020564 次は、左のこの画像。

鉄道に詳しい方なら、もうお分かりだろう。ここは、国会前庭南地区の和式庭園だ。国会議事堂正面の通りを挟んで、北には洋式庭園、南には和式庭園がある。この和式庭園には、大きな池もあり、緑に溢れている場所なのだが、地下鉄の走行音が1日中響いている。

その走行音の原因が、これ。やっぱり斜に構えている(笑)

こういう換気口を作るんなら、もっと形を考えればいいのにって思うが、中途半端な場所に、変に斜に構えて口を開けている。

とはいえ、和式庭園を散策している人は、まだ、見たことがない。去年の夏、機動隊が十五、六人、低い声で体操していた。閉園の時刻には「衆議院」のマイクロバスが現れ、スーツ姿の男たちが門を閉めにくる。時折、地下鉄の換気口の鉄蓋を二人で重そうに運んでいる。(『帝都東京・隠された地下網の秘密』新潮文庫版、P20)

秋庭先生の著書では、あまりにも有名なこの箇所。オイラは、仕事柄、何度もここを通りかかっているが、残念ながら、機動隊の体操も、衆議院のマイクロバスも、スーツ姿の男たちも、鉄蓋を運ぶ人たちも見たことがない。が、和式庭園を散策している人は、よく見かける。

駅も、換気口も、斜に構えている。その理由は、しごく簡単で、現在は国会議事堂の敷地を斜めに横切っている丸ノ内線は、もともとは道路に忠実に沿って走っていたのである。

例えば、最初の出入り口は、もともとは通りに平行に置かれていた。丸ノ内線のこの部分は開削式だから、道路を外れる必要なんてない。現在の首相官邸や議員会館が建っている辺りは、この永田町周辺でももっとも標高が高くなる場所で、ここから日比谷に向かっては急な坂になっている。丸ノ内線も、通りに沿って、坂を下りていき、議事堂の正面玄関の辺りで、右にカーブして霞ヶ関方面に向かう。

だが、この庭園にはひっきりなしに地下鉄のブレーキ音が響いている。レールが悲鳴をあげているようにさえ思える。ここは丸ノ内線にとっては急坂のうえに急カーブが続き、路線最大の難所となっているようだ。(『同』、P22)

換気口は、もともと一般の公道の上にあった。現在、この前庭を管理しているのは、衆議院だ。仮に換気口の鉄蓋を重そうに持ち運ぶ衆議院の職員がいたとしたら…、まだこの換気口が公道の上にあった頃、彼らは鉄蓋をどうしていたのだろうか。

この庭園、夜は閉園となり入れないが、換気口の管理は東京メトロでなく、衆議院の職員がやっているそうである。(『大東京の地下99の謎』二見文庫、P200)

なぜ換気口の管理を、衆議院がやらねばらならないのだろう。衆議院が管理しているのは、この前庭なのであって、換気口が壊れたり、換気口の補修や修繕をするなら、東京メトロがやることになる。そもそも、「換気口の管理」って何?

しかも、秋庭先生は、この換気口が、丸ノ内線ではここにしかないとまで妄想している。でも、沿線の皆さんは、あちこちにたくさん換気口があることくらいご存知だろう。さらに、初めてこの換気口を見つけたのは、1976年につくられたゼンリン住宅地図だという。そこには、「地下鉄桜田門」と記されているというのだ。が、この斜に構えた換気口は、『帝都東京・隠された地下網の秘密』(P21)に掲載された地図で確認すると、「地下鉄桜田門」の表示は、かなりかけ離れた場所であることが分かる。

なんだ、要するに、地下が隠されているような気がすれば、それでいいわけだ。

霞ヶ関一帯に中央官庁を集めようという構想は、明治時代にまで遡る。外務卿・井上馨が、官庁集中計画を立案したところから始まる。欧米列強と不平等条約の交渉にあたっていた井上が、西洋に追いつけ追い越せと、西洋風の建物を並べて、交渉を有利に運ぼうとしたのだ。一方、内務省は、市区改正計画を策定し、外務省と内務省が、東京の都市計画を巡って主導権を争っていた。

不平等条約の交渉に失敗した井上は失脚し、内務省が主導権を握ると、この霞ヶ関一帯の官庁集中計画も、内務省版として再スタートする。

その計画の一部が、『帝都東京・地下の謎86』(洋泉社)のP127に登場した2つの計画である。でも、日本は当時、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦と、3つの戦争で国費を使い果たし、計画は遅々として進まなかった。市区改正計画も、財源を削られ、思うように進んでいなかったのだ。

ちょうどその頃、国会議事堂の建設計画も進んでいるが、同じ理由で何度も挫折している。

議事堂周辺は、昭和36年から5ヵ年計画による都市計画によって整備が行われ、議事堂を中心に三角形だった敷地が、昭和41年、現在の四角に整備されている。これは、戦後になって「国権の最高機関」となった議事堂が手狭になり、敷地を広げて、敷地内に分館や別館を建てようとしたからだ。

現在の形が整うまで、何と丸一世紀をかけている。その期間、計画が現れては消え、現れては消える。

仮に、国民に隠された地下道があったとする。でも、それは、現代に転用できるような代物ではなかったに違いない。ちょうど現在の丸ノ内線国会議事堂前駅のように、本来の道路の方角とはまったく異なる方向に隧道がのび、唐突な場所に出入り口が口を開けている。秋庭先生のように、昔の地図と現在の地図を見比べて、ここには昔、○×があった。だから、ここには隠された地下がある、という単純な検証など、できるはずもないのだ。その土地の履歴を無視して、区画がまったく変わってしまった現代の地図と過去の都市計画を結びつけること自体、検証の仕方が破綻しているのだ。

ちなみに、秋庭先生は、現実に公にされている地下道を表現することまで、とんちんかんな書きっぷりに終始している。

地下鉄の利用客がエスカレーターで一方の壁に寄せられているとき、反対側の壁のほうに地下道があるということである。エスカレーターの足下に地下道があるといったほうがいいかもしれない。このような構造になっていれば、地下道はエスカレーターの向こう側だから、利用客に見られるということもない。(『帝都東京・地下の謎86』洋泉社)

国会議事堂本館から衆議院第二別館までの地下道のことをさして、こう述べているのだが、書いている意味がまったく分からないのは、オイラだけだろうか。反対側の壁に地下道があるのに、エスカレーターの足下にあるって、意味不明だ。だいたい、地下道なんだから、エスカレーターの向こう側だろうが、こっち側だろうが、乗客からは見えないでしょ。

そういう秋庭流の意味不明言語を横においたとしても…、

秋庭先生、地下道の場所、間違ってませんか?

オイラの手元には、エスカレーターとはさほど関係があるとは思えない図があるんだけどね。秋庭先生は、「地下道の位置と駅の平面図を比べてみた」と書いて、「エスカレーターに仕掛けがあるらしいことがわかった」としている。でも、衆議院第二別館に向かう地下道で、エスカレーターに仕掛けを入れなきゃいけないような箇所はないんだけど。だって、地下道は、地下鉄の駅やトンネルをうまーく避けて、道路を横断しているから、駅の構内にいる乗客の心配など、しなくて良いのだ。

秋庭先生、本当に地下道の場所、知ってるの?

東京の地下について、私はまだ何も知らなかった。(『帝都東京・隠された地下網の秘密』新潮文庫、P69)

確かに、その通りかもしれない。

さて、ここで、ばーんと国会議事堂と周辺施設を結ぶ地下道の在処を、図をスキャンして掲載してしまうことは簡単なのだけど、第1回目からそんなサービスをしたら、これから先は誰も読まなくなってしまうので、やめおく(笑)

誰でも、地下道の在処を知ることができる。それは…、また次の機会に。

P1020554_1   このシリーズでは、国会議事堂とその周辺にある地下の秘密に迫る。秋庭俊先生が、自著で取り上げた国会議事堂や首相官邸、国立国会図書館、憲政記念館などの地下の陰謀論を検証して、国民から遠く離れた永田町の地下が何故人々の興味を集めるのかを考えてみたい。

次回は、首相官邸の秘密のトンネルの話である。

(つづく)

【秋庭系東京地下物語'07《秘密》】

(第1回)斜に構えたアイツの謎

(第2回)首相官邸のトンネルの謎・前編

(第3回)首相官邸のトンネルの謎・後編

(第4回)国立国会図書館の「複雑な機能」の謎・前編

(第5回)国立国会図書館の「複雑な機能」の謎・後編

(第6回)憲政記念館の「壁の中の階段」の謎

(第7回)国会議事堂の「隠された地下」の謎・その1

(第8回)国会議事堂の「隠された地下」の謎・その2

(第9回)国会議事堂の「隠された地下」の謎・その3

(最終回)国会議事堂の「隠された地下」の謎・その4

|

« 眞鍋姉さん、オイラは、ケータイで『めざせ!プロ野球』を始めてみたんだけど… | トップページ | 【秋庭系東京地下物語'07《秘密》】(第2回)首相官邸のトンネルの謎・前編 »

秋庭系東京地下物語2007」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/109926/15086570

この記事へのトラックバック一覧です: 【秋庭系東京地下物語'07《秘密》】(第1回)斜に構えたアイツの謎:

« 眞鍋姉さん、オイラは、ケータイで『めざせ!プロ野球』を始めてみたんだけど… | トップページ | 【秋庭系東京地下物語'07《秘密》】(第2回)首相官邸のトンネルの謎・前編 »