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2007年3月 8日 (木)

「都市伝説」は、何故受け継がれていくのか?

今夜は少し、都市伝説にスポットをあててみよう。いくつか書籍を紹介してみたい。

『都市伝説探偵団』(アエラ都市伝説探偵団編集、朝日新聞社)

『アエラ』の敏腕記者たちが、わざわざ都市伝説の1つ1つを検証した連載を1冊の本にまとめたものだ。

「下水道には白いワニがいる?」…この話、アニメ『機動警察パトレイバー』でも題材になっていたよね。源流は、1935年2月10日付のニューヨーク・タイムズ紙らしい。「市内のハーレム川近くの下水道で、少年2人が体長2メートル以上のワニを捕獲した」という記事が掲載されたという。それが、渡り渡って、日本の東京で都市伝説になった。現実には、ワニは、熱帯地域の動物だから、下水管の中は寒くて生き残れないのだそうな。

「フリーメーソンは世界征服を狙う?」…フリーメーソンといえば、よくこんな話を聞くけど、国ごとに組織が独立していて、世界を統一する組織ではないらしい。従って、世界征服は不可能。意外なところで、ケンタッキーフライドチキンでお馴染みのカーネルサンダースさんが会員なのだそうだ。実際には、高齢化が深刻で、日本の支部は会員不足で減少傾向にあるという。

「富士の樹海は生きて出られない?」…オイラも、最近まで信じてた。磁気が狂う、方向感覚がなくなる。樹海は、東西8キロ、南北6キロほどで、周りを道路で包囲され、ど真ん中を突っ切る道路まである。自殺志望者でさえ、「出よう」と思えば樹海を抜けることができる。自殺の名所だけれど、案外安全な場所らしい。

『屋根裏に誰かいるんですよ・都市伝説の精神病理』(春日武彦著、河出書房新社)

精神科医の春日武彦さんが、精神病患者の「屋根裏に誰かいるんですよ」という妄想を題材に、都市伝説を絡めて解説している。

「都市伝説であるためには、匿名性あるいは没個性的内容が求められる」「都市伝説にせよ妄想にせよ、それらはオリジナリティーの乏しさこそがリアリティーを保証している」という指摘が、なかなか的を射ていると思った。

そう言われてみると、都市伝説は、必ず直接の語り手から聞くことはなくて、必ず誰かがこんな話をしていたという形で始まる。話の語尾は、「らしい」「なのだという」って感じに、他人事のような締め方をする。秋庭俊さんの一連の著作の特徴だよね。

『東京怪談ディテクション・都市伝説の現場検証』(広坂朋信著、希林館)

これはおもしろかった。

皿屋敷物件4条件…(1)祀られるべきものを持つ「因縁のある土地」がある(2)土地の事情を無視したかのように思われる開発(建築)がある(3)出る、という噂がささやかれる(4)噂に尾ひれがついた挙げ句、住人が変わる、または居なくなる

あるよねー、こういう物件。火のないところに煙は立たない。都市伝説が生まれるだけの出来事や土壌が、そこには必ずあるのだ。

作者は、1つ1つの都市伝説を、実際に現場に赴き、検証する。一概に都市伝説を否定するのではなく、都市伝説の生まれた背景に迫る姿勢に共感した。

 

現代の都市伝説の語り部は、女子高生や子どもたちではなく、二十代から三十代の若い世代の大人だ。何故、彼ら大人が、現実にはあり得ない都市伝説に耳を傾け、夢中になるのか。しかも、大真面目に信じている人が多い。下手をすると、掲示板で論争していたりする。なかなか、おもしろい時代になったなと感じる。

政府は隠し事をしている。マスコミやマスメディアは、嘘をつく。…そんな時代だから、都市伝説に魅力を感じる。その伝説は、かなりステレオタイプで、テレビドラマや小説にしたら、かなり失笑もののような内容だけれど、何故か、まことしやかに、大真面目に、語り継がれる。真実は問わない。そういう時代が、幸福なのか、不幸なのか、オイラには分からない。

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コメント

こんにちは。天涯です。
都市伝説に夢中になる人が増えるのは、間違いなく不幸なことだと思います。手間と知識が必要な科学的思考を避け、「~に違いない」の世界に逃避する人が多数になるということは、つまりそれだけ被洗脳予備軍が増える、ということです。優秀なデマゴーグの思う壺です。ある人間集団が、宗教的ともいえる熱中で動かされるとき、そこに道理が入り込む隙間はどんどん減っていくのです。そんな世の中は、イヤですね。

富士の樹海のことですが、樹海に限らず、方向の目標が無い環境下では、人間は無意識に利き足の方向へ曲がってしまうそうです。で、同じ場所をぐるぐる回ってしまい、脱出できなくなる、という話を陸自の人から聞いたことがあります。プロはそれを修正しながら、目標を決めて歩くそうです。実際、富士の樹海で陸自がランドナビゲーションの訓練やってますね。

投稿: 天涯 | 2007年3月10日 (土) 23時12分

どもども。

樹海で迷わないためには、少し先の目立つ木を目標に前に進み、たどり着いたら、また同じように少し先の目立つ木を目指す、というのがコツのようですね。っていうオイラは、奥多摩の山林で遭難したことがあります(笑)←笑い事ではない

さて、そろそろ、始めましょうか。

投稿: mori-chi | 2007年3月11日 (日) 14時56分

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