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2007年2月 5日 (月)

【秋庭俊先生応援企画】『帝都東京・隠された地下網の秘密』がトンデモ本って、マジっすか?5

秋庭俊先生の世界を、オイラたちパンピーでも体験することができる場所を紹介しよう。

東京都立中央図書館5F東京室

明治以降に発行された東京に関わる資料と、東京都内の自治体の行政資料を閲覧することができる。所蔵冊数は、15万冊を越える。東京のことなら、何でも分かるし、もちろん、秋庭俊先生の著作も所蔵している。秋庭先生の著作の最後には、必ず参考文献を記載しているが、そのほとんどの文献を、ここで閲覧することが可能だ。

場所は、都立有栖川宮記念公園の敷地内。東京メトロ日比谷線の広尾駅から徒歩8分、または、JR目黒駅から都バス橋86系統で、「愛育病院前」で下車、あの高貴な方や山口もえさんでお馴染みの愛育病院を横目に歩き、徒歩2分くらい。

図書館の入り口で、入館証を受け取る。この入館証は、閉架の資料を請求するときに必要となり、帰りに返却する。まずは、奥のコイン式ロッカーに荷物を入れる。館内には、筆記用具やノートなどを除き、ほとんどの荷物を持ち込むことができない。5階に食堂があるので、昼食や夕食も心配ない。オイラは、1日中ねばることもある。ここの資料は貸し出しをしていないので、その場で読まなければならない。

どんな資料を所蔵しているのか、試しに検索してみよう。

資料検索

秋庭先生の引用している参考文献の中で、これを一度読んでみたいとか、引用されている資料を自分の目で確かめてみたいという方は、まずここで検索してみてはいかがだろうか。

例えば、「品川から千住大橋に通じしめ」た一直線の街路を「暴露」したという帝都復興の設計士が書いた文章を、この本で読むことができる。秋庭先生がバイブルとしている『近代日本建築学発達史』(丸善)である。この本は、東京に関する本ではないので、4階の自然科学室の閉架書庫に所蔵されているが、5階の東京室でも閲覧請求できる。

秋庭先生の著作で、引用部分だけを読んだ場合の印象と、自分の目で端から端まで読んだ印象はまったく違う。特に、本全体を手にして、帝都復興の設計士以外の箇所も含めて、目にしてみると、この本の性格を何となく伺えるし、何より、この本が戦前ではなく、戦後に執筆、編集されたことが分かる。

秋庭先生は、『帝都東京・隠された地下網の秘密』(新潮文庫)で、「言いたいことが言えない時代にこれだけのことを語ろうとすれば、相当の覚悟が必要とされる。(略)命を削るような覚悟をしたうえで、設計士は後世に真実を伝えている」(P321)と、帝都復興の設計士が戦前にこの文章を書いているように表現しているけれど、この本は戦後、1972年に刊行されたものである。

あとで気づいたのだろう。『新説東京地下要塞』(講談社)では、「東京の再建計画をまとめた設計士は、戦後『近代日本建築学発達史』のなかで次のように述べている」(P91)と書いて、さりげなく修正を加えている。

こういう、秋庭先生の、いわば、“息づかい”にまで迫ろうとすると、やはり資料の実物を手に取るのが一番手っ取り早い。

ちなみに、『発達史』には、海の中を通る道路が記された地図も記載されている。秋庭先生の著作に登場する、あのアバウトな市区改正計画図とまるっきり同じものを目にすることができる。政府がひた隠しにした「海の中の道路」を自分の目でリアルタイムで、しかも実物を目にするのであるから、興奮せずにはいられない。

さて、どうせ都立中央図書館まで足を運んだのである。このまま帰るのは、もったいない。ぜひ、市区改正計画の原図を手にとってからお帰りいただいても遅くはなかろう。それは、『東京都市計画資料集成(明治・大正篇)第34巻・東京市区改正図』(本の友社)である。

図が5枚収録されている。『発達史』では、白黒のアバウトな図だったが、これは、カラー刷りで、デカい。内容は、修正市区改正図、修正品海築港図、東京市区改正全図、東京市区改正新設計図、東京市区改正旧設計現設計対照図。この中で、「海の中を通る道路」にお目にかかれるはずだ。ぜひ、マジな秘密地下道を体験していただきたい。

さて、ここまで来ると、市区改正計画の内容まで踏み込んでみたいと思う人も多いだろう。前掲した『発達史』でも、市区改正についての記述があるので、そこを読んでいただくと、簡単な市区改正の流れを追うことができる。が、やはり、詳しく市区改正について調べたいとなると、もう少し専門書をあさりたいものだ。

そこで、オススメなのは、秋庭先生も自著で参考文献になさっている、

『明治の東京計画』(藤森照信著、岩波書店)

である。これは、市区改正計画の始まりから、終わりまでを詳しく知ることができる、まあ、いわば、市区改正を勉強する人たちのバイブルのようなものだ。これを読むと、秋庭先生がよく主張している「市区改正は湯水のように金を使ったが、1本の道路も敷かなかった」という話が、まるっきり見当違いということが分かる。

この他にも、市区改正についての資料がたくさんあるので、「市区改正」で検索してみよう。閉架でも、資料を請求すれば閲覧することが可能だから、気軽に請求すればいい。

この図書館は、多くが閉架(書庫にしまってある)で所蔵されているけれど、開架(本棚に陳列してある)の本も多い。ぜひ、東京室の本棚を物色してみよう。ほら、行政資料の千代田区のスペースには、あの『新編千代田区史』がある。前回書いたのを覚えているだろうか。お堀の地下に広大な地下空間があるとする、政府の陰謀を暴いた正義の書を目にすることができる。しかも、開架である。

越沢明氏の『東京の都市計画』(岩波新書)も、本棚に並んでいる。これも、隠された地下網の図が随所に掲載されている、秋庭式陰謀参考書の1つである。明治から現代に至るまでの都市計画の歴史を知ることができる。これを最初に読んでおくと、都市計画のイロハとでも言うようなことを学ことができる。ちなみに、もっと詳しく知ろうとするなら、越沢氏の『東京都市計画物語』(日本経済評論社)がいい。例えば、幻の環状3号線についても論じている。発行が1990年代と古いので、麻布トンネルの件など、現状と一致しない点があることを留意しよう。

この他にも、市区改正委員会の議事録や、大正時代の東京市議会の議事録、帝都復興計画の原図など、秋庭先生が活用していらっしゃる様々な資料があるので、検索で調べてみよう。

今夜は、何だか不思議なノリだね。

おそらく、秋庭先生の著作をマメに読んでいる方は、引用されている資料の膨大さを感じるはずだ。でも、こうやって、彼の使っている参考文献を1つ1つ調べると、実は著作の大部分は、非常に基本的な参考書をもとにしていることが分かる。だから、どんな人でも、秋庭ワールドに触れることは、とても簡単なのである。

世の中のことは、大半がネットで調べられる時代になった。だからこそ、オイラたちは、ついついネットの情報に依存し、その情報を信じようとする。でも、先人のほとんどは、インターネットなんて知らない時代に生きており、彼らの書いた書籍はほとんどネット上には存在していない。ネットは、あらゆる情報に触れることができるような気がするが、実は、地球上に存在する“情報”の氷山の一角なのである。いわゆる都市伝説のようなものが、活字にするとただのフィクションなのに、ネット上ではあたかも真実のような顔をして一人歩きしてしまうのは、そういう背景がある。

で、皆さん、もしも首都圏に住んでいて、秋庭ワールドを体験したいというなら、ぜひ、都立中央図書館の東京室を、心ゆくまで探索していただきたい。秋庭ワールドからは、一気に解放され、きっと、“東京”の奥深さや多様さに気づくはずである。

図書館が、なぜ無料で誰でも利用できるのか。それは、民主主義の基本なのである。知りたい情報と出会う場所。「知る権利」を保障された場所。ネットに埋もれている間に、オイラたちは、「知る」ことを忘れかけている。真実は、ネットでは見つからない。自分の目で見て、自分の頭で考え、感じたこと、それこそが真実である。

(つづく)

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コメント

民主主義に限らず、資本主義社会は、例え「戦前」の「軍事政権」下の大日本帝国に置いても、情報の流通無しに国際的な競争力は確保できませんから、相当に自由なアクセスが「住人」には可能でした。
ご存知のとおり、図書館の本には蔵書印が捺されています。そこには、その本がいつその図書館の蔵書となり、開架台に置かれたかがあります。
例えば、中村順平の「東京の都市計画は如何にすべき乎」は神戸市立図書館(現神戸市立中央図書館)で昭和11年3月20日に開架台に置かれたました。
同書は、大正13年6月の刊行ですから随分と遅いと思われますが、版元の洪洋社から同図書館か、神戸市が大正13年9月2日の「寄贈印」が蔵書印の横に捺されています。
推測ですが、多分神戸市立図書館この寄贈本を持余したんじゃないかと思います。だって、表現悪いけど、この本の実体は、中村順平のプレゼン本なんですから。薬や、医療じゃありませんが、今の世で言えば、「リヨ○社」さんとかあんな所から出てる類の本の魁みたいなものです。書架に置くべきか否か、悩んだんじゃないかと。(これは妄想ですが。)
或いは、「昭和8年9月末日現在陸地測量部発行地図目録」は、昭和9年7月5日「大阪府立図書館」の蔵書となっています。
勿論目録にある同時期の2万5千分の一都市近郊図「東京首部」とか言うやつですね、も蔵書印が捺されて閲覧可能となっています。
他にも、秋庭氏が秘密めかして色々と仰る諸事を記した資料、例えば、中央郵便局の地下鉄道についての記述がある「逓信省五十年略史」(これは昭和12年大阪市立図書館蔵書)等など、古くからある図書館には、戦火などをくぐり抜けた現物がちゃんと残っていて、私達の眼前にその姿を見せてくれます。
秋庭氏の言う戦前、これ等を蔵する図書館は軍事政権によって閉ざされていたのでしょうか?
答えは否です。今と同じく、「ガタロ業」や、「回転焼き業」を営むオッサンが、ハンチングの北浜の株屋が、「中之島」の新聞閲覧室で一時の午睡を貪っていたと言う程度に、開かれていたんです。
mori-chiさんが書かれる様に、民主主義の御世では更に、遣りたい放題。しかし、いずれの時代も「どちらの所属」なんて、役所の名など応えずとも、書架、書庫情報に辿り着くに十分な、知る環境は何人にも保障されているのでした。

投稿: 陸壱玖 | 2007年2月 6日 (火) 00時32分

どもども。
そうですか、『東京の都市計画を如何にすべき乎』が開架式で置いているんですか。それは、なかなかスゴいですね。貴重な資料なんで、できれば、閉架式で大事に所蔵してほしいなあ(笑)
残念ながら、東京の全区市町村図書館を検索しましたが、ついにありませんでした。が、東京には、あの素晴らしい図書館が、まだあるじゃないですか。
次回は、そのスーパー図書館来訪記です。

投稿: mori-chi | 2007年2月 6日 (火) 09時48分

誤解を与えたら申し訳ない。
各資料とも蔵書印捺印時開架資料であったと言う事で
現在は書庫資料になっております。
なお、「東京の都市計画は如何にすべき乎」は書庫資料ですが、2006年1月の時点では、神戸市民もしくはお勤め先が神戸市内の方には、貸出可資料でした。
こちらの方が驚きでしょう(w

投稿: 陸壱玖 | 2007年2月 6日 (火) 10時27分

いやはや、それはぜひ、手にとってみたいものです。地下の秘密なんてどうでもいいから、あの大正時代の息吹というか、臭い、手触りのようなものを感じてみたいものです。それだけで、興奮します。神戸に行ったら、ぜひ図書館に寄りたいです。

投稿: mori-chi | 2007年2月 6日 (火) 22時30分

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