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2006年9月28日 (木)

『写真と地図で読む!帝都東京・地下の秘密』(洋泉社MOOK)を読んでみた。

結論から言うと、

ま、この程度の妄想なら、許す(笑)

構成は、「Part1 東京駅周辺には一大地下網があった」「Part2 徹底解剖!東京駅」「Part3 5つの疑惑から浮かび上がるもう1つの東京」の3部からなる。

目次のPart3のところには、何故か、「秋庭俊(談)」とある。(談)って、なんじゃ?

これまでの同種の本と違うのは、秋庭さんとは別に編集者がいて、執筆者は、秋庭さんの他に、4人もいる。で、どうやら、秋庭さんは、Part3だけを書いているらしい。上の(談)というので伺えるのだが、書いている内容や文章の癖で、秋庭さんとそれ以外の人との差が激しすぎるのだ。

Part1~2が、Part3と決定的に違うのは、ちゃんと裏トリをしている点である。Part1の赤レンガ地下通路や東京駅自由通路の話題では、分からないことをJR東日本に取材している。秋庭さんの真似事をして、あれやこれやと想像をしてはいるが、深追いはしない。秋庭さんなら、自分の立てた仮説を事実と混同して、次の仮説を立ててしまうが、彼らは事実をもとに想像を巡らせてみるが、あくまで仮説、あるいは疑問の域を出ない。

地下通路では、わざわざ自分の足で歩いている。歩いた結果は、深追いしない。おかしい、変だと、疑問を呈してはいるが、妄想の一歩手前で踏みとどまる。

Part2では、松本清張の『点と線』のエピソードや、『眼の壁』と、一般には知られていない秘密通路との関係なんかも出てきて、これはこれで読み応えがある。ここでも、軍部が隠したとか、GHQの仕業だとかという妄想は登場せず、普通に読める内容である。

史実を解説しているだけなので、オカルト本を期待している人間にはモノ足らないだろう。でも、ジャーナリズムとしては、許容範囲なのだと思う。

そして、Part3で、秋庭さんの登場である。

急に、文章に「私」が登場する。曲がりなりにも事実をもとに書いていたPart1~2とは一変して、妄想の連続が始まる。

例えば、

通常、地下鉄は地上駅のような重い建築の下は避けるものだ。なぜなら、その重量を支えてトンネルを掘るのもたいへんなら、工事終了後、そのトンネルが駅の重量を支えなければならず、潰れたら大惨事になるからである。

とある。

JR有楽町駅の地下を横須賀線が通過していることから、上のように妄想する。

でも、名古屋市営地下鉄の桜通線·名古屋駅は、JR名古屋駅の真下、あのツインタワーの真下にある。京都市営地下鉄の南北線·京都駅は、JR京都駅の真下、あの巨大な駅ビルの真下にある。札幌市営地下鉄の南北線·さっぽろ駅は、JR札幌駅の真下、駅ビルの真下にある。同東西線は、テレビ塔の真下を通っている。東京に限らず、全国の地下鉄は、道路を外れて、ビルなどの建物の下を通っている。

こんなことも書いている。

1964(昭和39)年の東京オリンピック開催前までは、銀座でも数寄屋橋でも好き勝手に路上駐車することができたという。

そりゃ、そうだ。好き勝手というか、駐車場がなければ、路上に駐車するしかない。だから、かといって、地上に駐車場をつくるような余裕は都心にはないから、地下駐車場をつくることになる。当時の道路は、自動車があふれていたのだ。その証拠に、戦後、1950年代、地上を走る都電は、毎年のようにスピードが落ちていった。理由は、交通渋滞である。スピードが落ちた都電は、次第に乗客が減り、本格的な自動車社会の到来を迎える。そして、都心に地下駐車場の必要性が迫られた。

秋庭さん、

君は知らないだけだよ。

秋庭さんに好意的な人も、批判的な人も、このムックは、ぜひ読んでほしい。そして、Part1~2と、Part3をよーく読み比べてほしい。

どちらが、ジャーナリストで、どちらがそうでないか。

あえて、そこは語るまい。勝負はついている。


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コメント

はじめまして。
秋庭さんの新刊が昨日発売になったことを知り、ググッてたどりつきました。
私自身も妄想入ってきちゃっていたので(笑)冷静なコメントを読んで、はっとしました。
早速、買って読んでみます。
こちらは、読みごたえのあるHP&ブログですね。
また、仕事の合間に寄らせていただきます。

投稿: こぐまりあん | 2006年9月28日 (木) 16時19分

仕事の合間にお疲れ様です。お褒めにあずかり、大変光栄です。これからも、のほほんとやってまいりますので、再び、仕事の合間にでもお寄りくださいまし。オイラも、結構、妄想好きです。たまにハッと我に返ることがあるんですよ(笑)

コメントありがとうでした。

投稿: mori-chi | 2006年9月29日 (金) 00時17分

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「写真と地図で読む!帝都東京・地下の秘密」(洋泉社)を読んだ。執筆者の秋庭俊氏はこれまでに東京の知られざる地下空間をテーマにした本を多数書いている。東京の地下には戦前から、公にはされない、軍事目的で作られた地下空間や秘密のトンネルが多数存在するが、その目的ゆえに明らかにされていない。地図を手に地下街や地下駐車場などを歩くことで、これらの隠された「疑惑」が浮上してきた、とするもので、一部にちょっと... [続きを読む]

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