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2006年8月 4日 (金)

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?16

このサイトは、東京の地下鉄について論じるサイトではない。でも、秋庭さんが、『新説東京地下要塞』を発売して以来、それまでの3倍以上のアクセス数を数えるようになった。ほとんどは、「東京 地下 戦前」などというキーワードでぐぐってきた人がほとんどである。前にも書いたが、ここをいくら読んでも、戦前の隠された地下網の秘密は探し出せないので、ご了承いただきたい。

オイラは、このブログで、秋庭さんはペテン師だと主張しているわけではない。これも、いつも書いているが、オイラは、秋庭さんの主張しているような、国民に隠された地下網が、まったく存在しないものだとは思っていないし、すべてがガセネタだとは思っていない。

ただ、仮説というものは、立体的に検証すべきもので、妄想と仮説とは別物だということを伝えたいだけなのである。

例えば、このブログを辿ってきた人は、新しい地下鉄は、古い地下鉄よりも下を走る、と思いこんでいないだろうか。

都営地下鉄大江戸線の月島駅では、先に出来た東京メトロ有楽町線が、後から出来た大江戸線の下を潜っている。上のセオリー通りだと、大江戸線が有楽町線より先にあったということになり、すなわち、大江戸線は戦前からあったという結論になる。

東京メトロ南北線は、溜池山王駅で、丸ノ内線と千代田線の真ん中を潜る。すなわち、南北線は、戦前からあったという結論になる。

でも、本当にそうだろうか。大江戸線も南北線も、他の駅ではどうなっていただろうか。新宿駅では、都営新宿線よりも下を走っている。大門では、都営浅草線よりも下を走っている。春日では、都営三田線より下を走っているが、東京メトロ南北線より上を走っている。

これら、すべての要件を加味すると、果たして、どの路線が先に出来て、どの路線が後に出来たことになるだろうか。

つまり、何が言いたいかというと、既存のトンネルの上か下かでは、路線の新旧を判断することなど不可能なのである。

東京は、山あり谷ありである。地下には、川も流れているし、電気もガスも共同溝も走っている。地下鉄は、そんな地下を、上がったり下がったりしながら、目的地へと向かう。地上すれすれを走っていた地下鉄が、ものすごく深い地中に潜ることもあるし、かと思えば、いつの間にか地上に出ていたりする。東京とは、そういう街である。

上だから、下だから、という議論は、おそらく秋庭さんが話し始めたことだろうが、冷静に考えれば、トンネルの上下では、新旧を判断できないのである。

東京の地下鉄は、皇居を回るようにU字に走っている路線が多い。これも、何か不合理のように思われるかもしれないが、地下鉄の構想を立てるとき、モデルがあるのをご存知だろうか。十字型だったり、U字型がたくさん重なったものだったり、放射状に広がるものだったり。東京の地下鉄網も、実は、非常にモデルに従い、合理的に出来ている。

思いこみは、やっかいである。

今の日本は、ネットのせいだろうか、簡単な妄想に引っかかるところがある。何かに熱狂すると、どこまでもハマってしまう。どこやらの亀田のように、よわっちいボクサーでも、演出されれば、やたらと強いボクサーに見える。でも、そんな虚飾は、すぐにはがれ落ちる。はがれ落ちると、手のひらを返したように、よってたかって攻める。今まで根拠もなく持ち上げてきたことなど、棚に上げる。

諸悪の根源は、マスコミでありメディアなのだろう。

家でシコシコと秋庭さんの本を読んで興奮しているくらいなら、もっと街へ出て、自分の目で社会を見つめる力を育てるべきなのだろうと思う。

秋庭さんの本を読んで、なるほどと思えば、自分の頭でそれを解読して、真実が何かを見極めるべきなのだと思う。

何度も繰り返すが、オイラは、秋庭さんが主張するような、国民に隠された地下網が、ガセネタだとは思わない。少なくとも、秋庭さんのようなジャーナリズムもどきでは、地下網には近づくどころか、遠ざかるばかりだ。どこにその地下網があるのかは、自分の目で確かめていただきたい。オイラのほうは、「いろいろ、あるんだよ」とでも言うよりほかない。


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『新説東京地下要塞-隠された巨大地下ネットワークの真実-』を読む

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『写真と地図で読む!帝都東京・地下の秘密』(洋泉社MOOK)を読んでみた。

『大東京の地下99の謎』(秋庭俊著、二見文庫)を読む

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コメント

大好きなテーマなので文庫版読み通したんですが、人を食った内容が残念でしたね。
絶賛するブログが多すぎて唖然。
まだまともな精神状態の方がいらして一安心です。ありがとうございました。

投稿: くびきのコッペル | 2006年8月12日 (土) 03時02分

こんなブログですが、読んでいただきありがとうです。オイラも、一応マスコミ関係の仕事についておりますが、あのようなエセジャーナリズムが堂々と業界を渡り歩いていることを恥ずかしく思います。

コメントありがとうです。

投稿: mori-chi | 2006年8月12日 (土) 21時21分

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