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2006年6月24日 (土)

『新説東京地下要塞-隠された巨大地下ネットワークの真実-』(秋庭俊著)を読む4

新宿プリンスホテルには、自前の駐車場がない。では、自動車で宿泊することができないかというと、フロントで自動車なんですがというと、サブナード地下街の1階下にあるサブナード駐車場に案内される。この駐車場は、通常料金は30分310円だが、宿泊の際には1泊2000円に割引される。駐車場への出入り口は、新宿プリンスホテルの出入り口と、アドホックビルの入口、新宿区役所の出口がある。アドホックビルと新宿区役所は、24時間対応してくれるが、新宿プリンスホテル側の出入り口は、入口が8時から23時まで、出口が9時半から22時までに限られる。

自前で駐車場を持っているホテルは少ない。都心で狭い土地にホテルを建てると、自前の駐車場用地を確保するのが難しく、近隣の駐車場を借りたりして、台数限定でお客様のニーズに応えているところが多いと思う。それなりの高級ホテルというなら自前で駐車場を持ち、ボーイが自動車を運んでくれたりというのが可能だが、新宿プリンスホテルは、安くはないが、庶民向けの少しグレードの高いホテルである。

さて、ここまで確認した上で、第五章を読んでいただきたい。

ホテルはプライバシーを大切にするから、地下駐車場が他の駐車場とつながっているとは思わなかった。(P144)

いきなり破綻している。新宿プリンスホテルの地下には、駐車場はなく、サブナード駐車場への出入り口があるだけである。おそらくほとんどのホテルがプライバシーを大切にするが、自前の駐車場を持っているホテルの方が少ない。秋庭さんは、ぜいたくなホテルに泊まりすぎているのだと思う。もしくは、ラブホテルなら、駐車場完備である。

新宿プリンスホテル

サブナード駐車場場内MAP

そのトンネルは戦前からあったと私は思っている。(P144)

そんなわけで、「そのトンネル」がどこなのか、まず考え直してから出直すべきである。

この章では、分からないことがたくさんあるが、どうしても理解できないのは、161ページの「内務省図」という地図。本文中にはどこからの引用なのか、何を目的に作られた地図なのかが書いていない。で、いきなり、

左上の地図では「市電地下鉄」と「西武地下鉄」が完成している。この二つのトンネルを縫うようにつなげると、戦後に建設された丸ノ内線のルートに一致しないだろうか。「市電地下鉄」を延長したその先の点線は、いわずもがなだが、大江戸線である。(P160)

と、戦後にできた地下鉄が戦前にすでにつくられているという結論を出している。ここが一気に飛躍していて、さっぱり分からない。地図にあるじゃないかと言うのかもしれないが、この地図の目的も、出典も分からないのでは、ここに書かれていることが何を示しているのか、現況なのか、計画なのかも分からない。

オイラが自分の目で見た感じでは、西武地下鉄も市電地下鉄も、色が変わっているので、計画なのではないかと思う。計画と現実を混同するのは、秋庭さんの特徴なので、これも同じ勘違いかと思う。仮にあったとしても、そこにつながる路線は地上なのだから、この部分だけ地下というのでは、トンネルの存在がバレバレだろう。とても国民に隠すことなど不可能だ。

大江戸線があるというのは、もっと分からない。点線は確かにあるが、それがなぜ大江戸線になるのだろうか。現在、ここの下には大江戸線が走っているのは事実だが、ならば、この点線以外の部分には、大江戸線が描かれていないのだろうか。点線が大江戸線として、この角張った点線は何を示しているのだろうか。当時の地下鉄は直角にカーブしていたのだろうか。秋庭さんは、都営新宿線も戦前にできていたと、他の本でもこの章でも書いていたが、この地図の新宿駅南口には都営新宿線を示す点線はどこにもない。じゃあ、大江戸線だけ書いたのは何故なのか。

ここでは、様々な資料をもとに、新宿に地下都電が張り巡らされていたことを証明しようとしているが、読んでも読んでも、地下に都電が走っていたことが分からない。おそらく、秋庭さんの気のせいではないかと思う。そもそも、都電が走る地下トンネルの存在を示す最大の論拠である新宿プリンスホテルの地下駐車場が存在しないわけだから、この章の論立てそのものが崩壊している。

国民には極秘の地下鉄は、関係者の間では「都営軌道」と呼ばれていたように思われる節がある。(P165)

たぶん、「都営軌道」とは、地上を走る都電のことである。

秋庭さん、オイラは、気のせいだと思う。


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東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か?

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『新説東京地下要塞-隠された巨大地下ネットワークの真実-』を読む

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『写真と地図で読む!帝都東京・地下の秘密』(洋泉社MOOK)を読んでみた。

『大東京の地下99の謎』(秋庭俊著、二見文庫)を読む

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