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2006年6月21日 (水)

『新説東京地下要塞-隠された巨大地下ネットワークの真実-』(秋庭俊著)を読む1

サンシャインシティの地下には、池袋地域冷暖房株式会社という会社の冷暖房施設がある。ここからは、サンシャインシティだけでなく、この周辺にある公共施設や民間のビルに冷暖房を供給している。秋庭さんが大好きな、“洞道”を通して、である。

洞道は、西系統と北系統、南系統がある。北系統は、アーバンネット池袋ビルという、サンシャインシティの北側にあるビルに供給している。南系統は、サンシャインシティの南側にある、東京メトロ有楽町線の東池袋駅や、東京都住宅供給公社、かんぽヘルスプラザ東京など、様々な施設に供給している。西系統は、サンシャインシティのすぐ西側にあるアムラックス東京や、東急ハンズ、第一地所池袋ビル、オーク池袋などに供給し、この洞道は、東急ハンズの斜め前を豊島区役所方面に向かう道路の地下を通って、豊島区役所にまで通じている。

さて、ここまで確認した上で、『新説東京地下要塞』の第一章と第二章を読み進めていただきたい。

株式会社サンシャインシティから連絡が入ったのは、それから一カ月が過ぎた頃である(P39)

もう訳が分からなくなっている。地域冷暖房のことを知るなら、池袋地域冷暖房を取材せずに、ビルの管理会社に行ってしまった。

本来は「お答えできません」と回答することになっているが、そう聞かれたら仕方がないということだろう。(P39)

っていうか、池袋地域冷暖房のサイトに、地下3、4階にあると図まで使って、説明してある。答えられないわけがない。ここを見ると、地下にあるプラントの配置図まで分かる。このサイトを見つけ、この図にたどり着くのに、検索する時間も含めておよそ15分程度。秋庭さんは、ずいぶん遠回りしたようである。

この事実はごく限られた人にしか知られていなかったからである。(P70)

少なくとも民間人のオイラは知っていた。おそらく、豊島区役所の職員であれば、知らない人はいないはずである。それも、守秘義務などはいっさいない。嘘だと思ったら、区役所に行って、広報課あたりに「教えてください」と行けばいい。きっと、優しく、地域冷暖房のことを教えてくれるはずである。

サンシャインシティがオープンするまで、そこには東京拘置所があった。東京拘置所という公共施設と、豊島区役所との間には、おそらく戦前から地下道が通じていた。(P71)

例のパターンである。上でも書いたように、地域冷暖房の洞道は、北にも南にも西にも、縦横無尽に延びていて、地下鉄東池袋駅や東急ハンズにも通じている。豊島区役所だけに通じているわけではない。戦前からあったというなら、まず、すべて戦前だと証明しなければならない。

サンシャインシティと豊島区役所の位置関係からすれば、その地下道(洞道)は、東池袋中央公園の角を通過していると考えられる。(P71)

それは、池袋地域冷暖房のサイトで確認すれば、西系統が東急ハンズに回り込んでいることが分かると思う。「大きく遠回り」しているのである。

おそらくその地下道は、坂下通りをそのまま真っ直ぐ延長したものではなかったのだろうか。(P71)

延長した先には、確かに区役所があるが、前にも書いたように、他の系統の説明がつかなくなる。北や南、東急ハンズに延びている洞道は、どこから延長したのだろうか。

地下道はさらに拡張され、線路が敷かれていたのではないか。(P71)

ここまで来ると、笑うしかない。

秋庭さんは、地域冷暖房というシステムを知らないようである。これが、オイラも調べてみて初めて分かったのだけれど、東京のあちこちにたくさんある。秋庭さん、こりゃ、ぜひ、1つ1つ調べなきゃ、損だよ。いーっぱいあるから。典型的なのは、新宿副都心。みんな、地下の洞道を通じて、冷暖房を地域に供給している。秋庭さん、身震いが止まらないんじゃないかな。

でも、洞道をつくるなんてもったいない、だから、戦前からあったに違いない、という結論は、安易すぎる。

臨海副都心。ここには、縦横無尽に洞道が張り巡らされている。もっとも、ここは洞道とは呼ばず、共同溝という。ここには、冷暖房のみならず、ゴミを清掃工場まで運ぶ管まで入っている。投入口からゴミを放り込むと、自動的に清掃工場まで運んでくれるというのだから、驚きである。臨海副都心には、東京ではお馴染みの青い清掃車が走っていない。便利な近代都市である。

ところが、この共同溝、すさまじく設備投資がかかり過ぎた。今になってお荷物になっている。戦前からあったらさぞや穴を掘るのも楽だったろうが、ここは埋め立て地。戦前は海である。維持管理に金がかかりすぎて、今になって、東京都や都が出資した3セクが悲鳴を上げている。

社団法人日本熱供給事業協会

上記のサイトを読んでいただきたい。サンシャインなんて可愛いものだと思う。

駐車場の案内図をさらによく見ると、地下三階にしかマークのないエレベーターがもう一つある。そのエレベーターに乗ると、サンシャインシティの知られざる地下五階へと到達する。地下五階にあったものは、驚いたことに、広大な道路である。(P40)

オイラも、秋庭さんなみに、大胆な予想をしてみよう。妄想と思って読んでもらいたい。

地下三階からのエレベーターのうち1つが、四階へと降りることができ、もう1つが五階まで降りることができる?

どうして、両方、地下五階に行かないんだ?

しかも、広大な道路がある?

秋庭さんは、どうして写真すら撮らなかったのだろうか。ケータイで写真が撮れる時代である。広大な道路がどこに通じていたのか、調べなかったのだろうか。その先に進まなかったのだろうか。広大な道路があると書いてあるだけで、その先が何も書いていない。この記述だけ、不自然である。地下駐車場から地下四階まで降りてきた秋庭さんは、その様子を事細かに書いている。なのに、地下五階については、「広大な道路」に驚いているだけである。車が走っていたのか。何がそこにあったのか。

ずばり、予想したい。

秋庭さんは、地下五階へは降りていない。いや、地下五階なんて存在しない。


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『写真と地図で読む!帝都東京・地下の秘密』(洋泉社MOOK)を読んでみた。

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コメント

http://www.kanto-geo.or.jp/html/g_siryou/sunshine.html

ここを見ると
地下5階はあるみたいですよ。
何があるのかはわかりませんが...


投稿: pya | 2006年8月 2日 (水) 22時51分

あるみたいですね。調べてみたら、ありました(笑)

何があるのかというと…

まあ、それは、次のお楽しみということで。

コメントありがとうです。

投稿: mori-chi | 2006年8月 2日 (水) 23時13分

実際に去年の夏に探索しました。
サンシャインはエレベーターがいくつもあり、そのうち地下4Fまでのエレベータと地下5Fまでエレベーターもあります。

地下五階へはスイッチが無効化されており押しても反応しません。
階段で地下五階まで行くことができます。

地下3.4階は地域冷暖のプラント
地下5階は東京電力豊島変電所です。

東京電力の275KVの超高圧変電所です。
サンシャインのホームページにも記載があります。
サインシャインシティーもここから受電しています。

投稿: | 2015年4月21日 (火) 22時45分

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