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2006年4月10日 (月)

東京の地下鉄は戦前にすでに作られていたという噂は本当か7

最近仕事が忙しい。理由は、担当部署が変わったからである。そのせいか、秋庭氏が大好きな溜池山王や永田町やらの、国民には隠された地下網の一部を歩くことが多い。そのたびに、延々と続くトンネルを見つめながら、最近、音沙汰がなくなった秋庭氏がいったいどうしているのかと、思いを巡らせたりする。

『写真と地図で読む!帝都東京地下の謎』(編著秋庭俊、洋泉社MOOK)

 永田町駅では、地下二階と地下三階の間の床が取り払われている。有楽町線のホームは地下四階にある。この駅の右側には、多数の細長いトンネルがあるが、その中央、地下四階に三つ並んでいるうちの二つが地下鉄有楽町線ということになる。残りの一つは壁のすぐ向こうにあるが、正体は不明である。
 この有楽町線の上に、三つの大きなトンネルがある。これが補助五五号線、つまり、地下自動車道である。地下自動車道は、さらに、有楽町線の下にもある。(P48「知られざる地下自動車道は存在する!」)

この次のページには、『東京地下鉄道半蔵門線建設史』から引用した永田町駅周辺の線路図と線路の断面図が掲載されている。さて、有楽町線で永田町駅を利用する人なら、秋庭氏の想像がまったくの妄想だということに気づくはずである。

簡単なところから指摘すると、「三つ並んでいるうちの二つが地下鉄有楽町線」というところが間違っている。有楽町線の永田町駅は、初のメガネ式シールド工法で作られており、3本のトンネルのうち両サイドが線路、真ん中はホームということになる。だから、壁の向こうには、「正体不明」のトンネルはない。

次に、有楽町線のトンネルは、本の図で色塗りされているフロアよりも1つ下にある、3階建てトンネルの一番下である。では、上の2階分は何があるかというと、有楽町線のコンコースにあたる部分である。一番上が、改札口のある地下1階、真ん中は半蔵門線のホームから階段を上がってきたフロア、つまり地下2階である。ここから有楽町線のホームへは、エスカレーターで地下4階まで降りる。

そう。地下自動車道など存在しない。

永田町駅は、有楽町線側へのウイングと、半蔵門線側へのびるウイングが、八の字型に広がっている構造となっている。この図の左側は、半蔵門線側にのびたウイング、右側の細いのは、有楽町線側にのびているウイングになる。

もしも有楽町線のトンネルの上に地下自動車道があったら、このコンコースと激突する。コンコースからホームへはエレベーターもあるし、エスカレーターもあるから、自動車道の真ん中に巨大な柱が立っているという、何とも使いにくい自動車道になってしまう。この駅の構造上、地下自動車道など配置できない。

では、有楽町線の建設記録にある地下道の拡幅とは何か。

『帝都東京・隠された地下網の秘密』(洋泉社)

 「拡幅」とあるからには55号は以前からここにあり、五億円もかけて工事したからには、いまもこのあたりの地下にあるのだろう。つまり、街路は地下にある。(P260)

秋庭氏は、あらゆる著書で一貫して、補助55号線が地下街路だと思いこんでいる。だが、補助55号線が地下にあると証明したことは一度もない。

補助55号線は、市ヶ谷から永田町までの間を、有楽町線の上を走っている、地上の道路のことである。秋庭氏が資料に出している拡幅工事は、有楽町線の工事に併せて、その上で行った地上の道路の拡幅工事のことである。ここでも、放射6号と同じく昔の地図を出して、地下だ、地下だと騒いでいるが、これもやはり、都市計画決定された道路の予定図であって、地下にある街路を示してはいない。この図から、地下と判断することなど、不可能だ。

補助55号線をなぜ地下と誤解しているのか、その理由は謎である。もしも地下なら、今地上にある補助55号線は、何だと言うのだろうか。地下も地上も同じ呼び名では、紛らわしいことこの上ない。しかも、補助55号線には、永田町から有楽町線のルートを外れて南に降りる支線がある。この支線すら、地下というのだろうか。

 しかし、そうすると、放射6号という街路は、一九二七年に計画され、一九六三年も計画とされていて、二〇〇二年もやはり計画だった。街路の関係者はいずれ真実が明らかになるとは思わないのだろうか。これは計画だ、計画だと言っていられるのは、五年か十年がせいぜいではないだろうか。(P258)

秋庭氏は、東京の都市計画を根本的に誤解している。東京の都市計画道路のほとんどは、戦後の戦災復興期に計画された道路ばかりだが、今も計画のまま開通していない道路など、たくさんある。一番有名なのは、環状8号線。今年5月28日にようやく全通する。昭和60年の環状7号線の開通以来、21年ぶりの全線開通だという。環状2号線、3号線は、今も全通していない。23区内は、まだマシである。多摩地域では、都市計画道路の整備率は、5割そこそこは当たり前だ。都市計画道路は、5年や10年では、完成しないのである。

もっとも秋庭氏からすれば、長年計画のままの都市計画道路は、地下にすでに存在する、ということになるのだろうか。もしそうなら、東京の地下は、秋庭氏の想像以上に穴だらけである。

さて、そろそろ断っておいたほうがよかろう。オイラは、秋庭氏が主張するような地下の秘密が、すべてガセだとは思っていない。

最近、秋庭氏が、講談社から新刊を出すと噂を聞いた。未だに実現していない。最近まで検索すれば、3月25日発売ということが分かったが、ここのところ検索しても探せなくなってしまった。ホームページでも書いてあった新刊は、いつ出すつもりなのだろうか。病気でもして、本を出せないのだろうか。それとも、政府から圧力がかかったのだろうか。その理由は、ぜひ講談社か本人に聞いていただきたい。オイラの方は、「いろいろ、あるんだよ」とでも言うよりほかない。


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『新説東京地下要塞-隠された巨大地下ネットワークの真実-』を読む

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『写真と地図で読む!帝都東京・地下の秘密』(洋泉社MOOK)を読んでみた。

『大東京の地下99の謎』(秋庭俊著、二見文庫)を読む

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