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2005年8月14日 (日)

『大切な約束~How tears fall~』Hikari

D100002512日の夜、相模大野でusuのライブがあった。ライブ終了後、すでに終電が出た後だったので、そのまま駅の上にあるホテルに宿泊した。翌朝、小田急で江ノ島に出て、散策をして、夕方、下北沢へ。谷口深雪ちゃんの企画が下北沢440であり、ライブを堪能してようやく帰宅した。

ここに1冊の本がある。スターツ出版という耳慣れない出版社から発行された『大切な約束~How tears fall~』。著者はHikari。内容は、13歳の少女が母の応援と励ましで、歌手を目指して上京し、夢を叶えるけれど、そのデビュー直前、母は亡くなってしまうという哀しいストーリー。もうご存知の方が多いと思うが、著者は川嶋あいさん、物語も実話だ。

私が初めて彼女を見かけたのは、渋谷駅前だったと思う。セーラー服でキーボードの弾き語り。たった1度だった。2度目は、2年前、本屋で「16歳の白い地図」(学研)という本と出会った。その頃には、彼女の歌声はテレビのブラウン管から聞こえてくるようになった。I wishというユニット。ほとんどの人が、それで初めて知ったのだと思う。でも、私自身は、I wishというより、川嶋あいは、川嶋あいというイメージしかない。おそらく、路上でキーボードを弾き語るというスタイルを最初に目にした人だ。「そらめく.com」で紹介しているアーティストたちと出会うずっと前のことである。

一番のお気に入りは、やはり、「天使たちのメロディー」。東京でたった1人で夢を追いかけている人間にとって、どれだけ励みになったことか。私は彼女より17年も長く生きているのに、彼女の生い立ちや夢を追う軌跡にどれだけ励まされたことか。傷ついたり、凹んだときに、どれだけ支えになったことか。まあ、こんなblogを読んでいないだろうが、あなたの歌声は、酔いどれて自暴自棄に生きていた当時の私にとって、少しは人間を信じてみようと思わせる不思議な力があったのだよ。もう一度、残された力で夢を追いかけてみようと思わせたのは、あなたの歌や本の言葉がきっかけだった。

この歌が入っているマキシシングルの最後の歌、「…ありがとう...」。その当時、この歌がおそらく母親に向けたメッセージであることは想像できたのだけれど、まさか、亡くなった母親に向けられていたとは…。

私は、25歳のとき夢を抱いて東京に出てきた。食っていくために仕方なく記者の仕事を始めて、いつの間にか夢から遠ざかっていた。両親は、私が何を夢見ているのかさえ知らなかった。知らせることもできないまま、借金取りに追われて、私の前から姿を消した。夢を共有することさえ、もうできないかもしれない。

あらためて、彼女の生い立ちを語った本を読んで、私は、私自身を振り返ってみた。今の私は、もう方向音痴で、行く先々、てんで、でたらめだ。あいさんのような、大切な人と共有できる夢を持っているわけではない。私の夢は、私しか抱えていない、孤独な夢だ。私は、この大切な夢とどう向き合えばいいのだろうか。私が上京して、もう11年になる。私はまだ、燃え尽きていない。空っぽで方向音痴で迷子の、この身体の中で、くすぶって、消えるに消えられずにもがいている。

『大切な約束』は、12日に相模大野駅のミロードで2冊買った。1冊は、usuの誕生日にプレゼントにした。2冊目は、私の手元にある。

何度も何度も読み返したあと、私は、ここ数ヶ月、連絡を取っていなかった大切な人にメールで連絡をしてみた。彼女も、相変わらず、もがきながら生きていた。「会いたい」と言おうとして、ふと思いとどまった。「おやすみ」のメールを送ったあと、「ありがとう」と書かなかったのを思い出して、頭をかきむしって後悔した。

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