« 花粉症対策のその後 | トップページ | 鳩の群れ »

2005年6月 9日 (木)

中学の初恋

D1000084中学のとき、好きな人がいた。彼女は、当時の女の子にはありがちな、おかっぱ頭で眼鏡をかけていた。特別に美人だったわけではないが、性格は明るくて、元気はつらつだった。

中学3年のとき、ある日突然、彼女は、化粧をして学校に来た。眼鏡は外して、コンタクトレンズをはめていた。ぐれるようなタイプの子ではなく、前日に「明日はお母さんに化粧してもらう」と宣言していた。担任の先生も、「今日だけだぞ」と笑っていた。クラスメイトは、みんな一様に驚いていたが、化粧をした彼女を誉める人はあまりいなかったようだ。男の子は、ほとんど冷やかしの言葉しか浴びせなかった。私は、教室で彼女と席が隣同士だったので、すぐ隣で彼女のふくれっ面を見ていた。ふと、彼女が、私のほうを見て、何となく目が合った。何か言わねばと焦り、

「きれいだよ…」

と、キザな台詞をつぶやいてしまった。彼女は、キョトンとして、ハッと我に返ると、「でしょ!でしょ!ねえ、ねえ、きれいだって!」と、冷やかしばかりの男子に反撃に戻った。

私は、結構、ドキドキしながら、それを見ていた。恋愛感情なんて、ほとんどなかったのに、このとき急に芽生えたような気がする。

次の日、彼女は再び、おかっぱ頭のメガネ少女に逆戻りしていた。「高校に入ったら、コンタクトにしよう」と、彼女が話していた。ここが恋心の複雑なところなのかもしれないが、その彼女を見て、「やっぱりメガネをかけていたほうがかわいいと思う」と心の中で思っていた。その後、席替えで彼女と席は離れてしまった。

卒業が迫ったある日、担任の先生が、教室である提案をした。1人が3人に匿名のメッセージを贈ろう。1人に3枚ずつ紙が配られた。私は、ずいぶん悩んだあげく、そのうちの2枚は、いつも遊んでいる男の子に、何ということもない言葉を書いた。これは、贈られた側に送り主がバレバレだった。あと1枚は、前述の彼女に対して、メッセージを書いた。

「メガネはかけていたほうがきれいだと思う」

用紙が回収され、先生が1人1人にメッセージを振り分けた。メッセージを受け取った彼女が、ギョッとした顔をして周りを見回した。周りの女友達に、「誰?ねえ、これ、誰?」と聞いていたが、結局分からずに困惑していた。彼女は、私のところにも来て、「ねえ、これ書いた?」と用紙を見せた。私は、「知らないよ」と知らんぷりをした。

あれから、もう、20年以上が過ぎた。今、母校は、すっかり近代的な校舎になったが、校舎の配置は今も変わらない。クラス会は、最初の数年は続いたが、いつの間にか連絡も途切れてしまった。今になって、その頃の思い出がよみがえることが多い。

彼女は、今も、メガネをかけているのだろうか。

当時、抜群の視力を誇った私は、今では、メガネを手放せなくなっている。メガネを外した自分は、まるで他人のようで、現実味に欠けてしまう。でも、今でも、私は、メガネをかけた彼女に恋をしている。

|

« 花粉症対策のその後 | トップページ | 鳩の群れ »

恋愛」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/109926/4485992

この記事へのトラックバック一覧です: 中学の初恋:

« 花粉症対策のその後 | トップページ | 鳩の群れ »